2020年05月31日

死者は以て復た生く可からず

◆最後の火攻篇となりました。ここは火攻めについて書いた章です。

 経営に置き換えることは、私の想像力ではとても難しいことですが

 戦争に対する慎重な態度は、経営にも言えることです。

 火攻篇は、以下の4つの段からなっています。

  67.火に攻むるに五有り

  68.五火の変有るを知り、数を以て之れを守る

  69.火を以て攻を佐くる者は明なり

  70.死者は以て復た生く可からず


 前3段は、火攻めそのものについて書かれています。補給路を

 断つための火攻めの方法って、経営にどう応用したらよいのか

 全く想像がつきません。

 最後の段では、将軍の戦争への心構えが書かれています。

 勝利を獲得できなければ軍事を使用しない。経営に置き換える

 ならば、市場を獲得できなければ、事業をしてはならない。という

 ことになるのかもしれません。

   死者は以て復た生く可からず
   
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 顧客を獲得するには、お客さんから見て他社にはない何かを持た

 なければなりません。こういうのを卓越性と言います。

 卓越性は、一朝一夕ではとても獲得できるものではありません。

 もし誰にでもできて、いっぱい儲けられるものを探しているので

 あれば、経営者としては如何なものでしょうか?


 今ではマスクも消毒用アルコールも、徐々に出てきましたが少し

 前まで、市場には出回っていませんでした。

 マスクも、消毒液も取り扱ったことがない人が、販売しているのを

 聞いたことがあります。これは卓越しているのでしょうか?

 顧客を創り出しているのでしょうか?私は経営しているとは、とても

 思えません。


 自分が、この仕事が好きだからと経営し始めた人もいるかもしれません。

 そうであったとしても、経営と考えるのであれば、卓越性がなければ

 なりません。それはお客さんに対して失礼です。

 自分ところでなくても、手に入るし、他に比べて劣ることを自分が

 食ってくために買ってください
とお願いしているのです。

 命の次に大切なお金をお客さんから預かる訳ですから、そんな覚悟

 では、到底許されるものではありません。

 ちょっと戦争をしてみたかっただけです。という理由で何人もの人が

 死んでしまうのです。
経営では、死ぬことはなくても従業員さんと

 お客さんの時間を無駄にする訳ですから、近いものがあります。

 社長の気分で、経営をすると周りが不幸になります。

 戦術的、局地的勝利に喜んでいるようでは、ダメな将軍です。

 局的な勝利から戦略的成功を引き出さなければ、その労力が

 本当に報われたことにはなりません



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2020年05月24日

敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり

◆用間篇は、間諜、スパイについてです。スパイは敵の情報を

 キャッチして、味方に有利な情報をもたらすものですが、

 その方法に5種類あると伝えています。

 この段も、やはり戦争について具体的に書かれているので、

 経営に応用する部分は、中々見つかりませんでした。以下の

 6段からなっています。

  61.敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり
  62.間を用うるに五有り
  63.三軍の親は、間よりも親しきは莫く
  64.吾が間をして必ず索りて
  65.反間は厚くせざる可からざるなり
  66.明主・賢将のみ、能く上智を以て間者となし


 なぜスパイを送り出すかという理由について孫子は、戦争と

 いうのは、長い距離を移動し、命を掛けて、国のお金を掛けて

 それこそ国の存続を掛けて行うものだ。やる以上は最も有利な

 状況で実行
しなければならない。それには、情報が必要だ。

    敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり

 情報収集つまり間者にお金をケチるようでは勝てるどころか

 国を危険にさらす
ことになります。

 経営においては、お客の情報と競争相手の状況を集めようとせず

 自分本位で、やれるだろうととりあえずやってみる
というのが

 これに当たります。中小企業の社長にこれが多くなるのは、資本家

 と執行者が同じだからだと思います。俺が金を出した会社だから

 何をやってもいいなどとは言えないのです。

 さらに、スパイが命掛けで手に入れた情報を生かさないとなんの

 ための命なのか解らなくなり、誰も命を掛けて仕事をしようと

 しません。

 コロナ禍で出勤してくるのは、命がけです。その人たちが集めて

 来た情報を生殺しにするわけには行きません。

 そうかといって、鵜呑みにして組織を滅亡させてもいけない

 です。それだけ将軍は戦いに長けていなければなりません。

 経営戦略の低い経営者には、優秀なものは、ついていかないという

 ことになるのかもしれません。


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2020年05月17日

剛柔皆な得るは、地の理なり

◆九地篇では、地形によってその戦術の違いが書いて

 あります。内容は、戦争に応用できることが多く、

 経営に応用できるような点を見つけることができません

 でした。

 孫子が目指すところは、プロの兵士ではなく素人を

 使って国を守ることです。普通の人は、強い願望も、高い

 戦闘能力を持っている訳ではありません。そのために

 戦う前に、戦う場所で指揮を高め、技術をカバーできる

 戦場を選ぶ
ことを教えています。

 戦場は、経営では市場に当たります。

    剛柔皆な得るは、地の理なり

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 九地篇は、以下の9段になっています。

  52.地形とは、兵の助けなり
  53.利に合わば而も動き
  54.其の愛する所を奪わば、則ち聴かん
  55.兵を往く所毋に投ずれば
  56.剛柔皆な得るは、地の理なり
  57.能く士卒の耳目を愚にして
  58.諸侯の情は、邃ければ則ち禦ぎ
  59.衆は害に陥りて、然る能く敗を為す
  60.始めは処女の如く、後は脱兎の如く


 社長は、従業員に頑張ることを、期待していますが、

 それほど頑張らなくても、勝てるを考えることを考えよ

 と教えているようです。また願望熱意も、そうしたく

 なるような状況を作れと言っています。戦争の場合は、

 死ぬかもしれないと思うとモチベーションはグンと

 上がります。コロナの危機で団結出来るか、出来ない

 は、将軍の技量に掛かってくる
ことになります。

 『剛柔皆な得るは、地の理なり』の段の浅野先生は

 以下のように解説してくれています。

  『どんな連中でも任務の必要性に目覚めるを

   得ないような外的環境を、素知らぬ顔で

  用意し、決して押し付けだとは思わせない

  ようにしながら、相手に自発的努力を強制する

 この時代に既に自主性ということを言っているのは

 凄いことだと思います。

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2020年05月10日

天の災いには非ずして、将の過ちなり

◆行軍篇の最後に浅野先生の解説で次のようなことが

 書かれていました。

  『人間は必ずしも他人の部下になることを

   嫌いはしない。

   ただ、信頼できない主人に仕えるのを嫌う

   だけである。


 将軍・社長にとっては、恐ろしい言葉です。ではその将軍が

 どのように組織を統率していくべきががこの地形篇では書か

 れています。もちろん地形篇ですので、戦いにおいて地形を

 どのように使うべきかも書いてありますが、経営にすぐに

 応用するにはハードルが高いので、統率に関する部分を最初

 勉強されるとよいと思います。

    天の災いには非ずして、将の過ちなり

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 地形篇は、次の5つの節に分かれています。

  47.地の道は将の至任

  48.天の災いには非ずして、将の過ちなり

  49.進みて名を求めず、退きて罪を避けず

  50.卒を視ること嬰児の如し

  51.地を知り天を知らば、勝は乃ち全うす


 『天の災いには非ずして、将の過ちなり』とは、戦いにおける

 災いとは、敗けて逃げかえる、兵士のたるみ、落ち込み、軍の

 崩れ、乱れそして敗北です。

 これらを運命や天災の責任にするな!と孫子は説いています。

 すべて将軍の過ちだとズバッと切り捨てています。

 昨日のブログでも言及しましたが、コロナの発生と広がり

 は天災かもしれません。

 しかし、会社が窮地に追い込まれたというのは、それまでの

 放漫経営の結果
かもしれません。

 利益が上がったからといって、やたらと必要以上にものを買う

 のは、経営というものが解っていないからです。

 この地形篇では、将軍にとってかなり耳の痛い話がでてきます。

 しかし、これが出来る人は、組織を統率することができます

 そして迫りくる次の時代も生き残る人です。なぜならば次の

 時代は、知識社会すなわち組織社会だからです。

 組織に成果を上げさせるものだけが、真の経営者となるはずです。

 詳しい説明は、ユーチューブライブ配信でお伝えします。

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2020年05月03日

兵は多益に非ざるも

◆行軍篇では、読んで字の如く軍が移動するときの注意事項です。

 次のように8つの節に渡って解説されていますが、軍の進行

 ですので、経営に置き換えることができませんでした。

 この行軍篇は、ブログに書くようなことはないかなぁ〜と

 考えて読み進んで、あと2節というところになって、経営に

 応用
できることが書かれていました。
 
  39.四軍の利は、黄帝の四帝に勝ちし所以なり

  40.軍は高きを好みて下きを悪み

  41.水流至らば、渉るを止め

  42.絶澗に天井に遇わば、亟かに之れを去り

  43.軍の行に伏匿す可き者有らば

  44.敵の近くして静まる者は

  45.杖きて立つ者は、飢うるなり

  46.兵は多益に非ざるも


 一つは、組織の統率が取られているかどうかを見抜く方法です。

    兵は多益に非ざるも

   ★動画deブログ解説は、ここから★


 もう一つは、組織の規模だけで勝ち負けが決まらないという点です。

 孫子は、軍営が騒がしく、上官が叱り付けているのは敵兵が

 戦いにあきかきしているからだと言っています。

 社内に置き換えるとトップが感情をあらわにして叱りつけて

 いるのは、従業員の士気が落ちている
と考えられます。

 やたらと賞罰によって人のやる気を起こそうとするのも同じ

 ことが言えます。

 また、十分な考えもなく、兵力数だけを多くして猛進するよう

 では敵の捕虜になるのが落ちだと言っています。

 組織は規模ではなく、目的に応じてその規模は運営方法が

 変わってきます。目的と手段を間違えるとこういうことになる

 のです。

 規模を目的にすると、売上高を上げて行かなければなりません。

 規模を大きくするには、お金がいるからです。お金を回すため

 に売上高が気になります。しかし規模を大きくするには、それ

 以上に組織を整備するためにお金が必要
になるのです。

 そしてさらに売上高が気になり出します。

 内部留保が残らず、今のように社会情勢が激変すると倒産

 追い込まれるのです。

 行軍篇は、後半部分を中心にライブで解説したいと思います。

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2020年04月29日

智者の慮は、必ず利害を雑う

◆九変篇は九種類の臨機応変の対処法を説いています。

 次の4つの節ですが、ここらあたりは戦争にかなり偏って

 いますので、経営に応用するところが無いのではないかと

 読み進んでいきました。

  35.将の九変の利に通ずる者は

  36.智者の慮は、必ず利害を雑う

  37.吾が以て待つこと有るを侍むなり

  38.将に五危有り


 その中で孫子が意識していることは、戦争には大きなリスク

 が伴いということです。できればやりたくない、戦になるに

 してもよくよく計算した上で始めろというものです。

 社内はコストセンターであり、利益はどこにもないという

 ドラッカー先生の言葉を置き換えれば、会社を運営することは

 リスクは当然のこととして考えるということになります。

   智者の慮は、必ず利害を雑う

   ★動画deブログ解説は、ここから★


 その上で、如何にそれを良くしていくかを考えなければなら

 ないということになります。

 経営すると、どんな小さなことを行っても必ずコストが

 掛かります。
戦争と同じです。

 ということは、どこに投資するかを慎重に、真剣に考え

 なければならいということです。

 ぼ〜と経営していたら、経費の垂れ流しになってしまう

 ことになります。今コロナの影響で業績が急激に悪化して

 いるところがあると思います。そういった業種に当たった

 ことは、運も大いにあると思います。

 しかし、長年経営していても自己資本額を蓄積していなければ

 リスクはあるという当然のことを怠った
社長の問題です。

 運ではありません。社長の仕事に対する無責任さの表れです。

 『将に五危有り』の節では、将軍への戒めが説かれています。

 この辺りのことを、ライブ動画でお伝えできればと思います。

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2020年04月26日

迂を以て直と為し、患いを以て利と為す

◆軍争篇では、戦場に敵より先に到達し有利な態勢を作る

 というように、戦いそのものよりも事前にやっておくべき

 ことが書かれているようです。軍争篇は次の5つからなります。

  30.迂を以て直と為し、患いを以て利と為す

  31.諸侯の謀を知らざる者は

  32.兵は分合を以て変を為す者なり

  33.民の耳目を壱にする

  34.高陵には向かう勿れ


 敵にとって利益だと思うことをちらつかせると敵はそちらに

 行き、本来の戦場とは遠ざけられます。こうして自分は敵が

 いない有利なところに陣取る
というものです。

 経営に置き換えるならば、みんなが集まりそうな市場を避けろ

 ということだと思います。

   迂を以て直と為し、患いを以て利と為す

 その文章の中に出てくることで特に気になったのは、軍全体の動きに

 かまわず、個人が利益を競争すれば、
かえって戦場に行くのが遅れる

 というところです。

 これは経営で言えば、成果主義になるのではないかと感じました。

 経営の目的を利益と置くならば、一見正しそうに思えますが、

 それは、目的を誤って設定しているからです。

 利益至上主義は、日本電産の永守会長が、このコロナ危機で警告を

 鳴らしています。

   日本電産・永守氏、新型コロナ「利益至上」見直す契機

 『諸侯の謀を知らざる者は』においては、地理に詳しい案内役を

 活用せよと言っています。これは市場のことをよく知る人を

 味方にする
ということと私は受け取りました。

 『民の耳目を壱にする』は、今の状況においてとても役に

 立つ内容です。これについては動画ライブにてお伝えしたい

 と思います。

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2020年04月21日

能く寡を以て衆を撃つ者は

◆虚実篇では、次の6つから構成されています。

 ここでは敵と対戦するときに、どのように動くかが

 書かれています。

  24.善く戦う者は、人を致すも人に致されず

  25.進むも迎う可からざる者は、其の虚を衝けばなり

  26.能く寡を以て衆を撃つ者は

  27.之れを蹟けて動静の理を知り

  28.兵を形すの極みは、无形に至る

  29.兵の形は水に象る


    能く寡を以て衆を撃つ者は

   ★動画deブログ解説は、ここから★


 その中で、ブログタイトルにしました『能く寡を以て衆を

 撃つ者は』の寡とは少ないこと、衆は多い。

 つまり小が大に勝つ方法を説いています。

 敵軍にはこちらが見えず、自軍では相手の動きが見えている

 と、敵軍はどこから攻めてくるか判らないのであらゆること

 に備えようとします。すると戦力は分散してしまいます。

 受け身になると手薄になり、そこに攻められるところが

 できてしまう訳です。勝つためには、各地に分散させて1か所に

 集中させないこと
です。そうすれば少ない人数でも、数的優位に

 なることができます。

 経営において、お客と競争相手をよく知ることです。ところが

 これが全く出来ていないところが多いのです。

 ウェイト付けは、お客が50%、競争相手が25%です。

 まずお客さんの立場に身を置いて考えることから始めるべき

 だ
と思います。多くの企業が内部中心です。

 例えば、社内の節約に躍起になったり、少しデキの悪い社員の

 動きばかり気にしています。社員の方も、上司の目ばかり気に

 しているのです。これでは企業間競争に勝てるはずはありません。

 少ない人数で詳細な情報を集めるには、商品、地域、客層を狭く

 決めることです。特に、強みとしていきたいことは、狭くして

 戦力を集中させます。もちろん、競争相手が手薄なところです。

 ここで突破口を切り開いて、次に進むというのが正しいやり方

 です。ところが多くの経営者は、自社の非力を忘れて分厚い

 コンクリートに接地面積の広いハンマーを打ちつけて、砕けと命令

 します。賢い経営者は、ノミを使ってまず切り口を作ります。

 皆さんは、分厚い壁を打ち抜くときにどちらの方法を使いますか?

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2020年04月15日

善く戦う者は、之れを勢に求め

◆勢篇では、兵士の個人的勇気に頼って勝とうとするのではなく

 戦闘に突入する軍全体の勢いによって勝利すべきことを説いて

 います。この勢篇は、マネジメントに近いものがあります。

 組織への貢献をどのようにするかは、学校ではほとんど学ぶ

 機会がありません。しかしこれからの社会は、組織社会ですので

 このことがとても重要になります。

   善く戦う者は、之れを勢に求め

   ★動画deブログ解説は、ここから★


 勢篇では、次の6つが書かれています。

  18.衆を治むること寡を治むるが如く

  19.戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ

  20.善く戦う者は、其の勢は険にして

  21.紛紛紜紜、闘乱するも乱る可からず

  22.善く敵を動かす者は

  23.善く戦う者は、之れを勢に求め


 著者の浅野先生は、次のように解説をしてくれています。

 『世の将軍にとって。天下の精鋭を率いて戦うことは、

  変わらぬ夢であろう。だが孫子の時代、兵士の大半

  は徴兵された農民
であった。当然のことながら、全く

  の素人である彼らの戦意は乏しく、戦闘技量もまた

  未熟
であった。』

 この言葉を研修会でよく伝えます。特に戦意が乏しいという点

 です。決して従業員が悪いということではありません。

 経営者という立場と従業員の立場では、必ずこういう深い溝が

 あります。社長であっても、雇われた立場になれば同じように

 なってしまいます。

 孫子もそうですが、大村益次郎も同じ状況で、普通の人を使って

 勝つしかなかった
のです。考えてみれば、有能な人間より普通の

 人間の方が圧倒的に多い訳ですから、普通の人でも勝てるように

 しなければならないということです。

 ですから、従業員個人の力に業績を求めること自体、問題が

 ある
のです。普通の人が、勇敢に戦えるようにする術が、

 この勢の考え方なのだです。

 ダメな上司ほど、部下の悪口を言ってもっといい人を採って

 くれなどと言ってくるものです。自分が優秀なら、部下の能力

 を活かすことが出来るはずです。悪いのは部下ではなくて上司

 自身の方です。
この勢篇は、現代の組織にとってとても重要な

 ことを伝えてくれています。

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2020年04月08日

先ず勝つ可からざるを為して

◆形篇では、まず負けない形を作り、無理なく勝利できる

 相手が形を崩したときに楽に勝てと言っています。

 形篇は、次の4つから成り立っています。
  (数字は前篇からの連番)

  14.先ず勝つ可からざるを為して

  15.勝兵は先ず勝ちて而る後に戦い

  16.善なる者は、道を脩めて法を保つ

  17.積水を先仭の墟に決する


 『勝つべからずざる』とは、何のことか?孫子は守りを

 優先しろ
と言っています。

    先ず勝つ可からざるを為して

  ★動画deブログ解説はここから★


 守りというのは、自軍が思うようになる部分が多いからだ

 そうです。攻めとなると敵の出方でこちらの態勢を変えざる

 を得ない。

 経営で守りとは、顧客維持のことではないでしょうか?

 ランチェスター経営の顧客維持対策で最初に勉強するのは、

 はがき作戦です。

 このはがき作戦は、競争相手に邪魔されることはありません

 お客さんに対しても、お礼状であれば何の問題もなく受け

 取ってくれます。

 自分の努力だけで、営業力を増すことができるのです。

 1年に1000枚書けば、1000回お客さんと接した

 ことに
なります。私は独立したときに、最初にしたのが顧客

 維持対策です。お客さんは1件もいないのに維持対策から

 行いました。お客さんを作るには、多大な労力が掛かります。

 一度作ったお客さんを、簡単に流出させていたら大変なだけです。

 お客さんにならなくても、一度名刺交換させていただいた方に

 忘れられたら終わり
です。皆さんのところの守りは、どうなって

 いますか?売りっぱなしをしてきた会社はこういう厳しいときに

 それがはっきり現れます。
 

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2020年04月01日

彼れを知り己れを知らば、百戦して殆うからず

◆謀攻篇は、生々しい内容になっていますが、あくまで国、民を

 守るために、如何に損害を少なくするかが根っこにあります。

 謀攻篇は次の通りです。(数字は計篇からの連番)

   9.戦わずして人の兵を屈する

  10.上兵は謀を伐つ

  11.小敵の堅なるは、大敵の擒なり

  12.将とは国の輔なり

  13.彼れを知り己れを知らば、百戦して殆うからず


    彼れを知り己れを知らば、百戦して殆うからず

  ★ブログdeブログ解説はここから★


 私がドキッとした言葉は、

   『彼れを知り己れを知らば、百戦して殆うからず』の

 著者浅野氏の解説の中にあります。

        

 敵情も知らず、自分の実情のみを自覚する状態で戦えば

 ある時は勝ち、ある時は敗ける、そして戦争は賭博性を

 まぬかれなくなる


 さらに自己の置かれた立場も認識せずに戦えば、まぐれに

 よって勝ちを拾うこともある。今経営者が試されていること

 に間違いはありません。まぐれで今までこれたのかがはっきり

 解ります。


 実力ある経営者は、この苦境を必ず乗り越えるはずです。

 また自社の実情は容易に把握できると思っているかもしれま

 せんが、ここに自己弁護や自己正当化をしてしまう落とし穴

 あります。

 自分は優れていると思いたいのは山々ですが、これが行き過ぎる

 と敵に対する軽視や無関心となり、実態のない勝利への幻想だけ

 が膨らみ始める


 経営に置き換えても、こういうことは良くあります。

 胸に手を当てて考えてみてください。

 流行に乗るだけの賭博経営をしてきていませんか?

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2020年03月30日

兵は拙速を聞くも、未だ巧久を睹ざるなり

◆作戦とは、戦いを作る(起こす)ことだそうです。どう戦うか

 を考えることです。

 経営計画書を作ってみえる方もいると思いますが、私はこの

 計画を作戦と読み換えています。多くの計画書が、結果を予測

 したり、自分の希望を述べているに過ぎず
、一人ひとりがどういう

 目的で仕事をしているかが解らないからです。

 それに引き換え作戦となると、趣が変わっています。

 そん訳で、経営作戦計画書と呼ぶようにしています。今後は、計画を

 外して経営作戦書
と呼ぶようにしたいと思います。

 孫子の兵法書の作戦篇では、次の4つにまとめらえています。数字は

 計篇からの連番です。

   兵は拙速を聞くも、未だ巧久を睹ざるなり

  ★動画deブログ解説は、ここから★


  5.兵は拙速を聞くも、未だ巧久を睹ざるなり
 
  6.智将は務めて敵に食む

  7.敵の貨を取る者は利なり
 
  8.兵は勝つを貴びて、久しきを貴ばず


        

 戦争において、長引いて巧く行ったと聞いたことがない。

 多少、上手く行かなくても、サッと引き上げることだと言って

 います。経営でよく失敗するのが、社長のこだわりです。

 計篇でもありましたが、勝算なきところで勝負するのは、初め

 から負けるために戦ってみるようなものです。

 それを途中で気づいても、面子を気にして引き下がれないという

 ことがちょくちょくあります。

 ドラッカー先生の独善的製品というのも一緒です。

 『智将は務めて敵に食む』とは、遠征先に補給をするような

 戦いはするな!ということです。これは地域戦略で考えると

 理解しやすいと思います。

 『敵の貨を取る者は利なり』は、進軍していくたびに戦力を増す

 戦いをしなさい
ということです。経営ではお客を味方に付けていく

 ことに置き換えができます。

 作戦篇では、このように戦い方について記述されています。

 皆さんは、経営にどのように置き換えられますか?

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posted by ランチェスター戦略・社長塾塾長 at 14:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 孫子の兵法

2020年03月29日

兵とは国の大事なり

◆孫子は、戦争を否定しています。兵法書というと勝ち方が

 書かれた指南書のように思えますが、それは誤った解釈です。

 第1章計篇の冒頭で、このことを表した言葉がこの兵とは国の

 大事なり
です。軍事は、国の存亡を掛けた重大事です。

 よくテレビなどで、社長の演説シーンで『社運を掛けて・・』

 というのがありますが、経営ではありえません。

 社運を掛けるようになったら、ヤバイ状況です。できれば敵と

 戦うなどという消耗戦になったら中小企業は滅び
てしまいます。

   兵とは国の大事なり

  ★動画deブログ解説はここから★


 戦争では敵国は決まってしまっていますが、経営では市場を

 変えることで争いは避けること
はどれだけでもできます。

 孫子は、戦う前に5つのことを比較して、負けているようなら

 開戦を避けるように教えています。

 その5つとは、『道、天、地、将、法』です。これらを企業間

 競争に置き換えてみると次のようになります。

  『道』社長と社員の一体感

  『天』昼夜、晴雨、寒暑、季節、国際情勢、経済情勢など
     ※自分の力では変えられないもの

  『地』立地、地形、地域

  『将』社長の能力、器

  『法』制度、組織原則


 社長がこの市場に乗り出すと決めたとき、すでにその市場に

 参入している先発業者や同業他社と比較することになります。

 競合する相手というのは、市場が比較する相手ですので同業

 であるとは限りません


 ところが多くの場合、自分の都合で事業を始めてしまい、

 たまたま生活ができる程度稼げているので、俺はこの地域で

 一番になると言っても、上記5つで優っていなければ時間の

 問題で市場から退場させられます。 

 戦争でもそうですが、社会情勢や競争相手そして市場(お客

 のニーズ)は変化
していきます。

 『天』を見極め、『道、地、将、法』を今以上に高めていく

 ことが存続には欠かせないことになります。

 コロナ騒動の最中、天を見極めることは存亡に関わることだと

 私は思います。

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posted by ランチェスター戦略・社長塾塾長 at 09:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 孫子の兵法

2020年03月28日

孫子が兵法書を著したのは、素人軍団で勝つため

◆今、孫子を勉強しています。孫子の『子』は先生という意味で

 兵法の筆者は、孫武とされています。

 1972年に竹簡の兵法書が見つかり、それまで色々な作者の

 寄せ集めでは無いかとか。偽物ではないかという説がありました

 が、竹簡の発見で著者が特定されたようです。

 孫子が兵法書を表したのは、その時代背景があります。

 それまでの戦いは、プロの武将が小さな戦いをしていたそうです。

 国民全体を巻き込むのではなく、今の感覚だとスポーツのような

 感じだったようです。ただし、国民的スポーツではなく国王の

 争いごとです。

    孫子が兵法書を著したのは、素人軍団で勝つため

  ★動画deブログ解説は、ここから★


 孫武の時代に入りると国を奪い合うための戦争となっていきます。

 国の存亡を掛けて行いますから、国家総動員です。

 つまり素人が戦争に加わる訳です。プロなら個人技で戦うことも

 できたでしょうが、組織で戦う方が勝てる確率が高くなります。

 プロスポーツの場合、選手は一流アスリートが集まってきます。

 ところが町内会のスポーツの場合、ルールも知らない人まで

 集めてこないと試合にも出場できません。

 プロスポーツで成功したことを、素人集団に適応しても、上手く

 行かない点はここにあります。

 企業もこれとよく似たところがあります。入社してくる人は

 途中入社であろうと、その会社の戦略には不慣れです。

 うちの会社は、こういうやり方で事業を運営してお客さんに

 貢献するということを理解して、しかも早く身に付くことが

 企業間競争で有利に
働くことは間違えありません。

 孫子の兵法書は、戦い方について著したものですが、組織で

 何事かを達成するために必要なこと
も著わしています。

 まだ読み始めたばかりですが、気づかされることが多く

 あります。このブログでも伝えていきたいと思います。

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posted by ランチェスター戦略・社長塾塾長 at 07:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 孫子の兵法